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歯周病は骨の病気!

歯周病=Silent Disease <沈黙の病気>
歯周病は骨の病気!

歯周病

歯周病が厄介な理由は、歯周病が"沈黙の病気"だからです。重症になるまで痛みがほとんど出ないため、歯科医院へ行くことが遅れます。"最近、歯がグラグラしてきた"という状態でご来院される場合が多いのですが、残念ながら、その時には手遅れになっていることが少なくありません。歯周病は、気付かない内に自分の歯を支えているあごの骨が溶けてしまう非常に恐ろしい骨の病気です。日本人の30歳以上においては実に約8割が歯周病といわれています。

・歯がグラついて食べ物がよく噛めない。
・歯と歯の隙間が広がってきた。
・以前より歯が長くなったように見える。
・歯茎が赤く腫れている。
・歯茎を押すと膿が出る。
・歯磨きをすると血が出る。
・口臭がある。
・起床時、口の中がネバネバする。
・冷たいものを飲むと歯や歯茎がしみる。

これらの症状がある場合は早めに歯科医院へ行きましょう。

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歯周病の原因はプラーク+α

歯周病を引き起こす4つのリスクファクター(危険因子)
歯周病の直接の原因はプラーク(歯垢)です。しかし、原因はそれだけはなく、歯周病の発症・進行には毎日の生活習慣が深く関わっており、歯周病は「生活習慣病」ともいわれています。

微生物因子
(歯周病菌)
環境因子 宿主因子 咬合因子
・プラーク中の歯周病の原因となる微生物(細菌) ・喫煙
・お口の清掃不良
・歯周ポケットの深さ
・プラークの付着量
・ストレス
・教育の達成率
・食生活
など
・年齢
・人種
・歯数
・糖尿病
・歯肉滲出液中の物質
・白血球機能
・遺伝
など
・悪い噛み合わせ

生活習慣病とは?
生活習慣病は、従来は成人病と呼ばれていました。成人期以降に生じる疾患の多くには毎日の不適切な生活習慣の積み重ねが関与することが多いので、1996年に厚生省は「生活習慣病」という名称に変更しました。生活習慣には、食生活、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などがあります。

また、メタボリックシンドロームの言葉で有名になりましたが、肥満も歯周病と関係があることがわかってきました。

生活習慣病の種類
■食習慣によるもの
①インシュリン非依存性糖尿病(成人性糖尿病)
②肥満症 ③高脂血症(家族性を除く) ④高尿酸血症
⑤循環器疾患(先天性を除く) ⑥高血圧症
⑦大腸がん(家族性を除く) ⑧歯周病

■運動習慣によるもの
①インシュリン非依存性糖尿病(成人性糖尿病)
②肥満症 ③高脂血症(家族性を除く) ④高血圧症

■喫煙によるもの 
①肺扁平上皮がん ②循環器疾患(先天性を除く)
③慢性気管支炎 ④肺気腫 ⑤歯周病

■飲酒によるもの
①アルコール性肝障害

喫煙は歯周病の最大のリスクファクター

●タバコは、歯周病にかかる危険性を高めます
●タバコは歯周病を悪化させます。
●タバコは歯周病を気付きにくくします。
●タバコは歯周病を治りにくくします。

これらの原因は、歯肉や粘膜、肺などから吸収されるニコチン、それが体内で変化したコチニン、一酸化炭素(CO)などの有害物質です。それらが歯周病菌と戦う免疫力の正常な機能を奪ったり、傷口を速やかに治そうとする細胞の働きに"待った"をかけます。

喫煙者の方の場合、ニコチンなどの血管を収縮する作用によって、歯肉の発赤や腫れなどの炎症があまり強く表れないため、悪くなっていることに気付きにくいという特徴があります。

さらに喫煙者の方は歯科治療を受けても傷の治り方が悪く、我々が期待したように治ってくれません。治療が長引いたり、再治療を受けなければならなくなったりと、歯科医院に通う回数や期間が増えてしまいます。 

このように喫煙によって口の中で様々な負の連鎖が生じ、歯周病が増悪し、結果として歯が抜け落ちてしまいます。私たちが健康な状態で長生きし、できるだけ多くの歯を維持して質の高い生活を送るためには、断然「禁煙」が必要です。
(『新歯周病をなおそう:鴨井久一、沼部幸博著、砂書房』より引用改変)

歯周病は歯をなくす最大の原因

2005年の8020推進財団による調査によると、抜歯の主原因で最も多かったのは歯周病(42%)でした。

年齢階級毎の抜歯主原因の割合は、歯周病による抜歯の割合は30歳代から50歳代にかけて多くなり、それ以上の年齢階級ではほぼ一定でした。

<抜歯の主原因別にみた抜歯数(年齢階級別、実数)>
歯周病

(『永久歯の抜歯原因調査:8020推進財団、2005年』 より引用改変)

歯周病は死に至る病?

歯周病

"フロスか死か!(Floss or Die!)"

十年程前、アメリカのマスコミからこんな衝撃的なメッセージが発信されました。"歯ブラシやデンタルフロスをきちんと使い、お口の中を健康に保って長生きしますか?それとも、それを怠けて病気にかかって早く死にますか?"という意味です。

「歯磨きを怠けて歯周病になることはわかるけど、まさか死にはしないでしょう? 」と思われるかもしれませんが、実は歯周病が心臓病(心内膜炎、狭心症、心筋梗塞)や脳卒中、肺炎などの全身の病気の発症と関係があることがわかってきました。

日本人の死亡原因の2位は心疾患、3位は脳血管疾患、4位は肺炎ですが、これらと歯周病は密接に関連しています。また、最近では、一部のがんとの関係も疑われるようになっています。その他、歯周病は糖尿病のコントロールへの悪影響を及ぼしたり、早産や低体重児出産(きちんと生まれても体重が軽い子供)の原因とも深い関係があることがわかってきています。
(『新歯周病をなおそう:鴨井久一、沼部幸博著、砂書房』より引用改変)

歯周病はお口の中の病気だけでなく、全身の病気も引き起こします!
歯周病

私たちの口の中には、健康な人の場合でも約300種類、数にして2億個ともいわれる微生物が住みついており、周囲の環境に応じて悪玉になったり善玉になったりします。歯磨きをサボっていると悪玉微生物が、のどから気管支、そして肺にまで入り込んだり、歯茎の中の血管に入り血液とともに全身の臓器へ運ばれていったりすることがあります。さらに、歯茎の炎症のある場所で作られた成分(ケミカルメディエーター)も同じように全身に散らばります。これらが全身の病気を誘発します。
(『新歯周病をなおそう:鴨井久一、沼部幸博著、砂書房』より引用改変)

歯周病が気管支炎・肺炎を引き起こす!
歯周病菌は、肺炎の原因菌と一緒に気管を通り、気管支から肺へと感染して炎症を引き起こします。歯周病菌は、呼吸器に炎症を引き起こす病原菌が気管支や肺に住みつくことを助ける役割を持っているようです。

また、歯周病によって生じたケミカルメディエーターも唾液に混じって気管支や肺に入り込み、肺炎を悪化させます。微生物が気管支や肺に入り込んでしまう誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)が起きてしまうこともあります。

歯周病が糖尿病を悪化させる!
歯周病が糖尿病そのものを引き起こすわけではありませんが、歯周病を治療せずに放置すると、炎症によって生じるケミカルメディエーターの量が増え、筋肉細胞や脂肪細胞に作用して糖の代謝機能を妨げます。

さらに、肝臓の働きを鈍らせ、グルコース(ブドウ糖)の代謝を低下させます。こうして歯周病は、血液中の糖の濃度を下げるホルモンであるインスリンを作用しにくくさせ、糖尿病を悪化させます。

しかし、歯周病をきちんと治療すれば糖尿病も改善されます。また、血糖値を改善することは歯肉の改善にも繋がります。

歯周病が心臓や脳卒中を引き起こす!
歯茎の血管に潜り込んだ歯周病菌は血液とともに心臓まで到達します。心臓の弁に障害がある場合、弁や内膜に歯周病菌がこびり付いて繁殖し、心内膜炎を起こすことがあります。また、血液中に流れ込んだ歯周病菌が心臓の周りにある血管の壁(冠動脈の内皮)にとりつくと、粥状の堆積物(アテローム性プラーク)を作るのが増進され、血管を狭くします。

このアテローム動脈硬化症の状態になると、心臓の筋肉に酸素や栄養が行き渡らなくなり、運動能力が減退したり停止して心臓の筋肉が死んでしまい、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。

さらに、歯周病菌も関係するアテローム性プラークで血管が狭くなってしまうことは、心臓の冠動脈に限った話ではありません。脳に動脈硬化が生じると、脳梗塞が引き起こされて脳卒中などの原因になることが考えれます。

歯周病が早産や低体児時出産を引き起こす!
早産や低体重児出産などの問題を引き起こす要因として、喫煙や飲酒などが知られていましたが、歯周病も関係していることがわかってきました。

歯周病の炎症によって生じるプロスタグランジン(PGE2)などのケミカルメディエーターが血液中に増えることにより、早産に繋がると考えられています。

また、血液中に入った歯周病菌が羊水内に入り込み、胎児の成長に影響し、予定通りに生まれても小さめの赤ちゃんになるという報告もあります。
(『新歯周病をなおそう:鴨井久一、沼部幸博著、砂書房』より引用)

歯周病が認知症とも深く関係!

認知症とは、ちょっとした物忘れから始まり、日付を間違えたり、場所や人、時間を覚えられなくなり、さらには妄想を抱くようになってしまうといった脳の病気です。認知症は誰もが予防したい病気ですが、歯周病を防ぐことは認知症を予防することにも繋がります。

■歯周病対策で脳卒中を防ぐことが認知症を減らす

認知症には、脳血管性とアルツハイマー型の2種類があります。脳血管性認知症の原因は脳卒中です。脳の血管で動脈硬化が起こる脳卒中を予防するためには、動脈硬化を防ぐことが大切なポイントになります。なぜなら、歯周病菌が動脈硬化を促進しますので、歯周病を防いで動脈硬化のリスクを減らすことが、脳血管性の認知症のリスクを減らすことを意味します。

■アルツハイマー型認知症にも歯周病が関係

アルツハイマー型認知症の特徴は、脳に萎縮が見られます。

CT(コンピュータ断層撮影)画像検査の調査で、残っている歯が少ない人程脳の萎縮が進んでいたという報告があります。さらに、アルツハイマー型認知症の人の方が、健康な人よりも残っている歯が少なかったのです(下グラフ参照)。では、歯と脳との関係性はなんでしょうか?

それは、噛むことによって脳の活性化を及ぼすことからわかるでしょう。つまり、噛むことによって刺激が歯根膜から脳へ伝わり、アセチルコリン(学習能力に深く関わる伝達物質)が増えます。この伝達物質の量が減るとアルツハイマー型認知症を引き起こす原因になると考えられています。歯周病を予防して歯を保つことは、アルツハイマー型認知症を防ぐことにも影響します。

<残存歯数とアルツハイマー型認知症の関係 >歯周病

(『口腔と全身の健康との関係Ⅱ:名古屋大学医学部口腔外科の研究調査』より)

歯周病治療の流れ

歯周病治療の流れ歯周病の治療はまず表面の炎症をできるだけ取り除くことから始まります。

口腔内写真撮影、レントゲン撮影、歯周組織検査、研究用模型によりできるだけ正確な病状を把握し、歯磨き指導、スケーリング・ルートプレーニング(歯周ポケットの浅い部分までの歯根に付着している歯石、バイオフィルムの除去)の初期治療を行っていきます。

初期治療が終わると歯周組織の状態を再評価するために、再度歯周組織検査を行います。再評価時に深い歯周ポケットが残存していれば、歯周外科処置(歯茎を切開し、歯石が付着している歯根の表面を直視しながら歯石を除去すること)を行う場合もあります。なぜなら、スケーリング・ルートプレーニングでは歯周ポケットの深い部分に隠れている歯石を全て除去しきれないからです。

歯周外科処置には大きく分けると、切除療法と再生療法があります。

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